中古戸建住宅の価格を知る Ⅱ.建物について

建物の価値は築後20~25年程度で住宅の市場価値がゼロとされる。といわれる戸建住宅ですが、一生物の買い物という思いで購入したにもかかわらず、「20年程度で価値が無くなってしまうのか…」と、やりきれない思いを抱く方も多いはずです。

長年過ごした住宅であればあるほど、深い愛着をお持ちのことと思います。しかしながら、そういった思いもなかなか価格には反映されず、一般的に建物は、古くなればなるほど価値が下がってしまいます。

では、建物の価格は何を基準にきめているのだろうか?

そんな疑問に対して、今回は戸建住宅の『建物価格』についてお話いたします。

土地と同様に戸建住宅の価格を求めるには一般的に 原価法という方法を使います。

建物の評価を知る

まずは、建物の評価を算出する方法についてご紹介します。

現在の時点で、建物を新築すると想定した価格を再調達原価といいます。
ここから、実際に建物が建築された時から現在までの期間(経過年数)を考慮した減価額を控除して価格を求めます。

※国土交通省から発表されている 平成26年の木造の建築工事費 全国平均はm²単価16万3千円。
(それぞれの建物にはグレードや個別性などの違いもあるため、新築単価には幅がありますが、発表されているデータをもとに、一般的な木造の戸建住宅であれば、m²あたり15~18万円位の範囲から、ご所有の建物に応じて算出してみてください)

(例)木造(耐用年数22年) 床面積 100m² 築10年の建物の場合

再調達原価の算出 100m²  ×  16.3万円  =  1,630万円
(床面積)   (再調達単価)   (再調達原価)
減価額の算出 ( 1,630万円 ÷   22年 ) × 10年  =  740万円
(再調達価格)   (耐用年数)  (築年数)    (減価額)
建物価格の算出 1,630万円  -  740万円  =  890万円
(再調達価格)    (減価額)    (建物価格)

となり、上記の計算で建物の価格は、890万円 と算出されます。

このようにご所有されている建物に応じて算出してみてください。

減価の要因と建物の価値

減価の要因として、日常の使用による傷みや劣化などの物理的なものはもちろんですが、その他に、現在では人気のない間取りであったり、設備が古く大幅な更新(改装)が必要とされる場合などの機能面が要因なものもあります。
また、もともとは住宅が多い地域であったものの、現在では商業が盛んな地域へと変化しているようなケースは、建物自体の価値は認められはしても、その地域性や環境が要因となり、住宅としての価値が低下しているような経済的な減価もあります。

このように本来、減価には様々な要因が考えられます。

ところで、先ほどの計算式では、建物の価値を耐用年数経過後はゼロと仮定した場合のもの(耐用年数22年の場合は築22年で価値をゼロ)となります。

しかしながら、近年では築30年以上の物件が流通する割合が増えており、耐用年数が終了したとしても、取壊(解体)さえしていなければ、古いとはいえ現在も使用可能の状態であれば価値についても一定の分 (例えば再調達原価の5%、または程度によって10%) を考慮しようといった考え方に改善し、維持管理や修繕が適切に行われていれば、耐用年数経過後でも一定の価値をみることも多くなっています。

建物の価値を高める

中古の戸建住宅においても近年では、建物の品質やリフォームの有無によって、建物の価値を積極的に評価するようになっています。

例えば、リフォーム や リノベーション を行っている場合などは査定の際に市場価格より評価が高まる可能性があります。(図1参照)

※国土交通省の『中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針』より

その他に、耐震補強や住宅の基礎・躯体などの劣化対策、バリアフリー対策、省エネ対策などの住宅性能に対しての付加価値があるものに対しては評価の加算要因とされており、高機能建物として、高く査定する傾向となっています。(図2参照)

図2

※国土交通省の『中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針』より

ご売却をお考えの方は、こうした工事などの明細内容や履歴が分かる書類をしっかり保管しておいてください。

また、最近では建物の検査を専門的に行う業者も増えてきており、 こういった機関を利用して住宅の性能について客観的に証明をしてもらうのも一つの方法といえるでしょう。

ただし、注意していただきたいのは、必ずしもこれらの工事に要した費用に見合うだけの価値の向上が見込めないこともあるということです。
例えば個性が強く一般的ではないリノベーションやリフォームを行っている場合や、リフォームを行ったが既に劣化してしまっている場合などは、買い手に評価されるのが難しい面があり、価値の向上に繋がらないケースもあります。

最後に、

中古戸建住宅の価格を知る Ⅰ.土地について も併せてご参考いただき、今回の建物の価格と合算して、ご所有されている戸建住宅についての資産価値が大まかではございますがお分かりいただけると思います。

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